女王Cutey-oneの一生・最後は盗蜂に遭う/翔脈による蜜蜂種の検定
蜂場KUの21J1群は昨年(2021年)越冬前は健全な状態であった。本年2月25日の越冬明け処置の段階では無残な状況ではあったが、巣門口での出入りは活発であったので群勢の回復を期待していた所である。(「越冬明け直後の日本蜜蜂の群勢比較」参照)
3月3日の時点ではあまり変化は無かったが、3月10日点検すると遠目に巣門口が活発に見える。群勢回復かと喜び勇んで近づいてよーく見ると、何か違うような。巣門口も異様に汚れている、西洋蜜蜂のように見える。それでも日本蜜蜂と思いたい気持ちがどこかにある。日本蜜蜂と思いたい気持ちの為、手遅れになった事が何度かあるので、早々に確認する事とした。
蜜蜂の後翔翔脈による検定を実施する
我が家の日本蜜蜂の翔脈
21J1群の巣門で捕まえた蜜蜂の翔脈
この蜂の翔脈は日本蜜蜂の翔脈と比べて明らかに違う。西洋蜜蜂と断定して良さそうだ。○印の部分が、日本蜜蜂では「H形」をしていますが西洋蜜蜂では「Y形」をしています。(参考文献:東海大学出版会 菅原道夫著 ミツバチ学)
この検定の為に、我が家の働蜂を2匹犠牲にした。早速巣箱を撤去することとする。
21J1群巣箱の撤去
翔脈検査結果を受け早速巣箱の内部を詳細に点検したところ日本蜜蜂は1匹も確認できなかったので巣箱を撤去した。
貯蜜は全く無かった。3段健全群として越冬に入った群が越冬中に群崩壊した場合、幾らか貯蜜が残っているものだが、盗蜂に遭ったせいであろう。
巣箱を撤去した後も大量の西洋蜜蜂が巣箱架台の周りを飛翔していた。
女王Cutey-oneの一生
この度、盗蜂に遭った21J1群の女王蜂は我が群でもっとも長期間系統を維持し現存する17K2群の2019年第3分蜂として4月4日に誕生した(女王Cutey-oneと呼ぶ)。2021~2022年の越冬中に死亡したとすると、寿命は約2年8ヶ月、まずまず平均的な寿命であろう。
この女王蜂は産卵能力は甚だしく劣っていたようだ。誕生した年の巣房の伸びは3段までの為、採蜜していない。2年目の巣房の伸びは2段未満のため、この年も採蜜していない。3年目2021年になって初めて4段群まで成長し、その年の8月末初めて採蜜している。収量ははたぶん5㎏程度であったか。3年間で5㎏の収穫である。
また、Cutey-oneから生まれた女王蜂で群を形成したのはわずかに5群である。この系統をたどれば成功・繁栄した群もあるようだが確認していない。
西洋蜜蜂養蜂業的判断であれば早々に淘汰されるべき女王蜂であったようだ。日本蜜蜂で幸いであった。なぜならば日本蜜蜂の場合、女王蜂を淘汰しても変性王台は形成されない、それは群の終焉を意味する。
記録を辿って初めて分かったことである。以下は単に女王Cutey-oneの記録である。
以上