巣板整理(を兼ねた)採蜜を行う。 巣板整理採蜜の必要性
分蜂を終えた元巣群が新女王の下で、群勢の回復が始まった群のうち継箱の段数が実質4段以上の群に対し、巣板整理(を兼ねた)採蜜を行った。9群9段の巣板整理採蜜を行い13.1kgの収量を得た。継箱1段あたりの平均収量は1.46kg。秋口に行う通常期の採蜜は継箱1段当たり5kgであるので約3割の収量である。甚だ効率の悪い採蜜であるが、糖度は高いようだ。
巣板整理採蜜の結果
蜂場 | 採蜜群及び継箱段数 | 蜂蜜収量 | 継箱1段当たり収量 |
J | 3群3段 | 6.1kg | 2.03kg |
F、K & KU | 3群3段 | 3.7kg | 1.23kg |
H & HK | 3群3段 | 3.3kg | 1.10kg |
合計 | 9群9段 | 13.1kg | 1.46kg |
巣板整理採蜜を行った継箱。蓋かけのない空巣房が大半、貯蜜はほとんど無い。
巣板整理採蜜を必要とする理由
越冬を終えた蜂群は春の訪れとともに貯蜜を増やし、群勢を増していく。それと共に継箱の段数も増えていく。そして3~4月の分蜂期を迎える。分蜂は元群から3~5群分蜂するが、それぞれの分蜂群は大量の蜂蜜を抱えて行くので貯蜜量は漸減していき、最後に残る女王蜂群は多量の空巣房を含む巣板を引き継ぐこととなる。
交尾飛行に成功した新女王蜂群は群勢を増し貯蜜を増やして行くが、その際、巣箱上部の空巣板を利用せず、新たに巣箱下部に巣房を形成し育児貯蜜を進めていく傾向がある。従って、そのまま放置しているといたずらに継箱の段数が増え、巣箱の安定性が悪くなる。
また蜂群にとっては、防御すべき巣板が増えることとなる。蜂群の密集度も希薄になり、決して良い状況とはいえない。
これらを解消すべく、飼育管理の一環として巣板整理採蜜を行う。
巣板整理採蜜をした群の群勢推移(一例)
蜂場HK 21F5群の2022年越冬明け後の推移
日付 | 記事 |
2月26日 | 継箱3段群として越冬 強群として越冬明け。即刻継箱、計4段。 |
3月09日 | 4段群重量:19.5kg(正味(巣板、蜂群、貯蜜)重量:10.1kg) |
3月14日 | 4段群重量:20.0kg(正味重量:10.6kg) |
3月24日 | 雄蜂誕生始まる。4段群重量:20.7kg(正味重量:11.3kg) 巣板伸長のため継箱→5段巣箱とする。 |
4月02日 | 5段群重量:23.5kg(正味重量:12.6kg) |
4月07日 | 5段群重量:24.4kg(正味重量:13.5kg) |
4月08日 | 第1分蜂(推定)。 近くの柿の木に分蜂群の探査蜂が帰還したらしい飛翔蜂多数あり。 柿の木に分蜂蜂球誘導版を設置。 |
4月11日 | 第2分蜂。分蜂誘導版に蜂球形成。蜂球中。 |
4月16日 | 第3分蜂。分蜂誘導版に蜂球形成。蜂球特大。 |
4月18日 | 5段群重量:21.9kg(正味重量:11.0kg) |
5月07日 | 5段群重量:23.2kg(正味重量:12.3kg)。正味重量の再増加始まる。 |
5月17日 | 巣板整理採蜜→4段巣箱とする。 |
5月24日 | 群勢、増勢傾向に転じる。次回点検時要継箱。 |
蜂場HK 21F5群の群勢推移(画像)
5月24日には新たに継箱を要するほど群勢・巣板が伸びている。
新女王群の増勢に際し、分蜂で生じた空巣房を育児房・貯蜜房として再利用するなら巣板整理採蜜を行う必要は無いが、日本蜜蜂はひたすら巣板をしたに伸ばしていく傾向がある。
以上